形を真似ず、時間を写す ―― 擬木柱・造形左官仕上げ

擬木柱の造形は、単なる再現では成立しない。年輪の間隔、繊維の流れ、節の位置に残る緊張感。内村工業のデザイン左官は、木の形状をなぞるのではなく、長い時間の中で刻まれてきた「変化の痕跡」を造形として立ち上げていく。鏝を入れる角度、押し戻す強さ、あえて残す歪み。それらは図面では指示できない領域であり、現場の空気や素材の反応を身体で受け取りながら決められていく。柱という構造体である以上、視覚的な迫力だけでなく、触れたときの安心感や空間全体への馴染み方までが重要となる。仕上げでは、陰影が縦方向に自然と流れるよう、造形の深さとリズムを調整する。光が当たる時間帯によって表情が変わり、昼と夜で異なる存在感を持つ柱となることを前提にしている。過度な演出を避けることで、擬木でありながら、空間に違和感なく溶け込む佇まいが生まれる。デザイン左官とは、素材を欺く技術ではない。異なる素材に、同じ「時間の密度」を与える行為である。内村工業は、擬木柱という造形を通して、空間に静かな説得力を与え続けている。

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