見た目以上に、正直な左官 ―― 洗い出し仕上げ



洗い出し仕上げは、一見すると単純な工程に思われがちです。骨材を混ぜ、塗り、洗う。ただそれだけに見えるからこそ、この仕上げは左官の技量を容赦なく露わにします。水を当てるタイミングが早過ぎれば骨材は流れ、遅れれば表情は閉じる。粒径の選定、配合、コテ圧、気温と湿度。そのすべてが結果に直結する、極めてシビアな左官仕事です。内村工業では、洗い出しを「仕上げ工程」ではなく「設計された操作」として捉えています。骨材の見え方は均一である必要はなく、むしろ僅かな揺らぎが空間に奥行きを生む。大阪左官として培った感覚が、洗いの加減を判断し、素材が持つ素直な表情を引き出します。特殊左官やデザイン左官の技術を重ねても、洗い出しだけは近道がありません。簡単そうに見えるからこそ、誤魔化せない。洗い出しは、左官という仕事の本質を静かに語る仕上げのひとつです。


