硬さを決めない技術 ―― 樹脂モル仕上げの可変性

内村工業が手掛ける樹脂モル仕上げは、性能を誇示するための左官ではありません。無機質な骨格に樹脂を加えることで生まれるのは、単なる強度ではなく、応答の幅です。練りの段階で決まる粘性、塗り付け時の抵抗、コテを返す瞬間の戻り。その一つひとつが表面の密度と表情を左右します。特殊左官としての施工では、材料を均質化し過ぎず、空間条件に応じて可変性を残すことを重視します。デザイン左官の現場では、意匠を描くのではなく、割れにくさや追従性を前提に、最も無理のない収まりを探ります。大阪左官として培った経験は、樹脂の効かせ方を過不足なく見極める判断力として現れ、壁や床は過度に主張せず、長く使われる前提で落ち着きます。内村工業は、樹脂モル仕上げを通して、左官を固定化する技術ではなく、条件に応答する技術として空間に実装しています。

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