継ぐのではなく、組み替える ―― 本実風土壁の和モダンリノベーション



内村工業が手掛ける和モダンリノベーションにおける本実風土壁仕上げは、伝統的意匠の再現を目的とした左官ではありません。既存建築が持つ時間の層を読み取り、現代の生活に適した距離感へと再構成するための技術です。本実風の割付が生む秩序と、土壁ならではの不均質な質感。その二つが同時に成立することで、壁は懐かしさではなく、落ち着きとして空間に作用します。特殊左官としての施工では、素材の配合や塗り重ねのリズムを調整し、意図的に整え過ぎない表情を残します。デザイン左官の現場では、和の文脈を強調するのではなく、現代建築との接点を見極め、光や陰影が自然に馴染む状態を探ります。大阪左官として培った経験は、過去をなぞらない判断として現れ、壁は空間全体のバランスを静かに支えます。内村工業は、本実風土壁仕上げを通して、和モダンを様式ではなく、更新された左官の思考として空間に実装しています。


