光が質感を完成させる。陰影と反射の設計

第6章|光が質感を完成させる。陰影と反射の設計
質感は、材料そのものに備わっているようでいて、実際には光によって初めて完成します。どれほど精密に仕上げられた左官面であっても、光が当たらなければ、その表情は十分に立ち上がりません。質感とは、表面と光のあいだで生まれる現象でもあります。トップセメントマイクロデッキのようなマイクロセメント仕上げでは、コテの圧力や動きによって生まれた微細な起伏が、照明によって繊細な陰影として現れます。テクスチャは単独で存在するのではなく、反射、拡散、見る角度によって印象を変えながら、空間価値を形づくります。同じ壁や什器であっても、昼光と間接照明ではまったく異なる質感として感じられることがあります。左官において重要なのは、表面を整えることだけではありません。完成後にどのような光が当たり、どの位置から見られるのかまで想定しながら、どこで止めるかを判断することです。特殊左官とは、材料と光の関係まで含めて質感を設計する技術とも言えます。内村工業株式会社 では、質感を表面の装飾ではなく、光によって完成する空間価値として捉えています。見えているのは表面かもしれません。しかし、記憶に残るのは、そこに宿った光なのかもしれません。


