流れが止まった場所 ―― 熔岩石風仕上げという痕跡




内村工業が手掛ける熔岩石風仕上げは、自然物を模倣するための左官ではありません。高温で流動していた物質が、ある瞬間に冷え、動きを止めた。その時間の断面を、左官技術によって空間に定着させる試みです。表面に現れる凹凸や割れのような表情は、意図的に作り込むものではなく、材料の流れと止まりを見極めながら導き出されます。特殊左官としての施工では、材料の練り具合、塗り重ねの間、押さえのタイミングが結果を大きく左右します。デザイン左官の現場では、荒々しさを強調するのではなく、視線の距離や光の当たり方を考慮し、最も自然に「落ち着く」状態を探ります。大阪左官として培った感覚は、やり過ぎない判断として表れ、壁面は過剰な演出を排した静かな存在感をまといます。内村工業は、熔岩石風仕上げを通じて、左官を表現ではなく、時間と現象を翻訳する技術として空間に実装しています。


