テクスチャと質感の違い。見えるものと感じるもの

第3章|テクスチャと質感の違い。見えるものと感じるもの

テクスチャと質感は、同じ意味のように使われることがあります。しかし左官の視点では、この二つは似ていても異なる層に属しています。表面に現れているものと、その表面を通して空間全体に残る印象は、必ずしも一致しません。テクスチャとは、材料と条件の重なりによって表面に現れる現象です。骨材の粒立ち、鏝の軌跡、金属の酸化、光によって浮かび上がる凹凸。これらは目で確認できる具体的な表情であり、下地、材料、温度、湿度、鏝の圧力によって変化します。テクスチャは意図して作り込むというより、条件の結果として現れるものです。一方で質感は、その表面に触れたとき、あるいは目にしたときに生まれる総合的な印象です。冷たい、柔らかい、静か、緊張感がある、深みを感じる。視覚と触覚のあいだで立ち上がる感覚であり、空間価値に直接つながる要素です。左官の仕事は、テクスチャを操作することではなく、そこから生まれる質感を見極めることにあります。どこで止めるかという判断によって、表面の現象は空間の記憶へと変わります。内村工業株式会社では、左官、テクスチャ、質感、特殊左官の関係を一つひとつ言語化しています。見えるものと、感じるもの。その違いを理解したとき、空間の見え方そのものが変わり始めます。

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