積層する圧と時間 ―― 版築風仕上げという左官思考


内村工業が手掛ける版築風仕上げは、見た目の再現を目的とした左官ではありません。土やモルタルを積み重ね、圧を加え、定着させる。その工程に宿る重力と時間の感覚を、現代の空間に翻訳する試みです。層が生まれ、締まり、わずかに揺らぎを残す。その痕跡は装飾ではなく、施工のプロセスそのものとして壁面に現れます。特殊左官としての版築風仕上げでは、材料の配合や水分量、押さえの強さを細かく調整しながら、その場に最も適した密度を探ります。デザイン左官の役割は、意匠を決め込むことではなく、素材が示す応答を読み取り、層の収まりを導くこと。大阪左官として培ってきた経験は、力のかけ方や間の取り方に反映され、壁は静かな緊張感をまといます。内村工業は、版築風仕上げを通して、左官を「形づくる技術」ではなく、「構造を感じさせる技術」として空間に実装しています。


