失われてからでは、もう手に入らない

左官の仕上がりは、選ばれる鏝によって精度が変わる。やまさの元首鏝(75ミリ・90ミリ)は面を押さえ、全体の均しと質感の基準をつくる。切付鏝は角や際を整え、面の輪郭を決めるために使われる。面引鏝はエッジに意図した陰影を与え、外丸面引き(3分・6分・9分)は外側の曲面を柔らかく整え、内丸面引き(6分・7.5分)は内側の納まりに緊張感を残す。それぞれの用途と寸法が、壁や什器の最終的な印象を左右する。どの鏝を選び、どの角度で当て、どこで止めるか。その判断の積み重ねが、テクスチャとして現れる。これらの左官鏝は、鍛冶屋の手によって一本ずつ鍛えられたものであり、同じものは二つとない。だが今、その多くは作り手が減り、容易には手に入らなくなっている。失われてからでは遅い。特殊左官の精度は、こうした道具とともに受け継がれている。

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