左官の判断|仕上げをどこで止めるかという技術

建築空間において、左官の仕事は単に材料を塗ることではない。素材の状態を読み取り、空間との関係を見極め、どこで仕上げを止めるかを判断することである。壁や什器に施されるテクスチャ仕上げは、同じ材料であっても施工する環境や光の入り方によって表情が変わる。スペイン発のマイクロセメント Topciment の Classic Metal と Elite Glaze を組み合わせた仕上げも例外ではない。金属の深みを感じさせる表情を生み出すためには、塗り重ねる層の厚み、鏝の動き、乾きの状態を見ながら調整する必要がある。仕上げを続ければ質感は変化し続ける。だが、空間として最も美しく成立する瞬間が必ず存在する。左官はその瞬間を見極め、そこで鏝を止める。設計者が求めるのは、単なる装飾ではなく空間と呼応する質感である。壁、什器、カウンターなどに連続して表現されるテクスチャは、空間の印象を決定づける要素となる。

大阪を拠点とする 内村工業株式会社 は、特殊左官とデザイン左官の施工を通じて、素材の可能性を空間へと変換してきた。左官の仕事とは、材料を塗ることではない。

空間が完成する瞬間を見極める判断である。

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