完成とは、止めた瞬間に成立する。左官の判断

【赤という色は、左官にとって感情ではなく「制御対象」である。】

顔料の強さ、粒子の密度、下層の吸い込み、重ねた回数。それらが少しでも読み違えられれば、色は前に出すぎ、空間から浮く。このテクスチャー仕上げでは、色を主張させるのではなく、層の構造として沈める判断が求められた。矩形の重なりや金属箔の配置も、装飾ではない。視線がどこで止まり、どこで抜けるか。その流れを左官の工程で制御している。塗り進めながら、手を加えるべきか、あえて触れないかを即座に判断する。その連続が、仕上げの密度を均質に保つ。完成とは、すべてを塗り切った状態ではない。これ以上手を入れれば、空間のバランスが崩れる。その一線を見極め、止めること。左官の判断とは、素材と意匠の関係を最後まで読み切り、空間として成立させる技術である。内村工業株式会社は、その判断を工程として可視化し、再現性のある左官として実装している。

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