色をつくらない左官。緑青が語り出す瞬間



緑青は、つくるものではなく、導くもの。
金属が酸化し、時間とともに色を深めていく。その現象を意匠として成立させるために、トップセメント ピュアメタルは選ばれる。完成時に強い表情を与えるのではなく、光や湿度、空気の流れを受け止めながら、ゆっくりと変化する余白を残す。その前提がなければ、緑青はただの色になる。
下地の吸い込み、層の厚み、鏝の運び。わずかな判断の差が、金属の反応速度を変えるため、均一を狙わない。揃えすぎず、荒らしすぎない。その中間を探る感覚が、表情の奥行きを生む。壁、パネル、什器と用途が変われば、求められる反応も変わるため、施工は毎回設計し直される。
素材の可能性を引き出すのは、知識よりも経験の蓄積だ。緑青テクスチャーは、左官の判断が空間の質を左右することを、静かに語っている。


