集合住宅の左官施工において重要なのは、見た目の整いではなく、時間と使用に耐える構造理解である。住戸内部、共用部、外部壁面、土間まで、用途も負荷も異なる空間を一つの建築として捉え、下地の状態や環境条件を身体で読み取って施工を進めている。材料の硬化速度、コテに伝わる抵抗、乾きの兆し。数値や仕様書では拾いきれない情報を手の感覚で判断し、塗り厚や圧を微調整する。外部では耐久性を最優先に、共用部では人の動線を意識し、土間では荷重と摩耗を前提に仕上げを組み立てる。内装に固執せず、建物全体のバランスを崩さない左官仕事が、集合住宅の品質を支える。施工後に語らずとも、数年先で違いが現れる現場判断を積み重ねた施工事例。






