左官とは、仕上げを「止める」仕事である

【左官とは、仕上げを「止める」仕事である】

左官の仕事は、材料を塗ることではない。
下地の吸い、室内に差し込む光、空気の湿度、コテに返ってくる抵抗。そのすべてを読み取り、「どこで止めるか」を決める行為だ。

このサンプル板は、同じ材料を用いながら、あえて仕上げを揃えていない。磨きの回数、コテ圧、研ぎの深さを微妙に変えることで、表情の差を残している。均一に整えることもできるが、それは今回の判断ではない。

左官にとって仕上げとは、完成させることではなく、余白を残すことだ。やりすぎない、削りすぎない。その一線を見極める感覚は、数値やマニュアルでは伝えられない。ここに並ぶのは製品の比較ではない。左官がその瞬間に下した、判断の痕跡である。

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