判断の層



このUKアートパネルは、層ごとに重なり合うモールディングを、構造そのものとして成立させた作品である。トップセメントという素材を用い、装飾として線を引くのではなく、面を積み重ねることで輪郭を生み出している。視線は一度で全体を捉えられず、近づき、角度を変え、初めて構成が立ち上がる。そこにあるのはデザインというより、制御された立体だ。層の重なりは偶然ではない。材料の粘性、重ねるタイミング、コテを離す瞬間。その一つひとつを身体で判断しながら、どこまで積み、どこで止めるかを決めていく。均一に揃えることはしない。わずかなズレや影が、結果として面にリズムと緊張感を与えるからだ。
このモールディングは、主張するための装飾ではない。層が生む陰影そのものが、空間の深度を決定する。光が当たることで強調され、引いた視線では静かに沈む。その可変性こそが、このパネルの魅力である。UKアートパネルは、左官の技術を誇示するためのものではない。判断の積み重ねを、面として定着させる試みだ。層を重ねるごとに現れる緊張と秩序。そのバランスが、この一枚に凝縮されている。


