素材と、もう一度向き合う

内村工業株式会社が取り組む社会貢献は、大きな仕組みを語ることではなく、手の届く範囲の素材と真剣に向き合うことから始まっている。今回の試みでは、長年使われてきた家具などのリサイクル品を素材とし、トップセメントを用いて新たな役割を与えるアップサイクルを行った。単に再利用するのではなく、次の時間に耐えうる価値へと更新することを目的としている。リサイクルが「元の状態へ戻す」行為だとすれば、アップサイクルは「意味を上書きする」行為だ。使い込まれた痕跡や経年変化は、劣化ではなく記憶として受け止める。左官の技術によって表面を整え直すことで、素材は再び空間の一部として機能し始める。捨てるか、活かすか。その判断そのものが、ものづくりの姿勢を問う。近年、自然環境は大きく変化し、環境問題は特別なテーマではなく日常の延長線上にある課題となった。内村工業株式会社が考えるSDGsとは、遠い理想ではなく、日々の仕事の中で選び続ける小さな行動の集合体である。アップサイクルはSDGsと切り離された活動ではなく、その思想を具体的な形として実装する手段だ。小さな取り組みかもしれない。しかし、本気で続けることでしか、持続可能な未来は生まれない。素材を見直し、価値を引き継ぐ。その積み重ねを、内村工業株式会社はこれからも続けていく。

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