第三のサニタリー|静けさの到達点③

第三のサニタリーは、この空間における「中心」として設えられた洗面台である。内村工業株式会社は、トップセメント・エリートグレーズによるパールデザイン仕上げを用い、機能と視線が自然に集約される面を構築した。直線と曲線が緩やかに連続するフォルムは、造形を誇示するためではなく、人の動きと光の流れを受け止めるために存在している。この洗面台では、光は反射されるものではなく、面の上を滑り、溜まり、静かに消えていく。表情を決定づけているのは、強い輝きではなく、磨きの中に残された微細な揺らぎだ。材料の粘性、コテ圧、乾きの速度。そのすべてを身体感覚で調整しながら、主張しすぎない密度をつくり上げている。

メインとなる洗面に求めたのは、象徴性ではなく安定感だった。毎日繰り返される所作の中で、意識されることなく空間の質を支え続ける存在。デザイン左官とは、視線を集める装飾ではなく、空間の重心を整える仕事である。その思想が、この第三のサニタリーに静かに結実している。

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