第二のサニタリー|光の密度を調整する仕上げ②

第一のサニタリーが「触れる距離感」を意識した存在だとすれば、第二のサニタリーは「空間としての佇まい」を整える洗面である。内村工業株式会社が手がけたこの洗面台では、トップセメント・エリートグレーズを用い、パールデザイン仕上げによって光の滞在時間を設計している。反射を強めるのではなく、光が留まり、ゆっくりと離れていく。その過程そのものが、空間の質をつくる要素となる。この仕上げにおいて重要なのは、均一に見える面の中に潜む、わずかな密度差だ。視線の角度や時間帯によって、面が語る情報量は変化する。意匠として誇張せず、しかし確実に空間の奥行きを支える。そのために、材料の粘性、コテ圧、重ねの間合いを身体で調整しながら仕上げを組み立てていく。洗面は、単なる設備ではない。人が立ち止まり、鏡越しに自分と向き合う場所でもある。この第二のサニタリーでは、装飾を施すのではなく、空間が過度に語りすぎない状態を目指した。デザイン左官とは、目立つ表現を加えることではなく、空間が自然に呼吸できる余白をつくる行為である。その考えが、この洗面台の静かな存在感として現れている。

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