足裏で空間を設計する トップセメントがつくる店舗床











古民家リノベーションにおける店舗床仕上げとして採用したのは、トップセメント・マイクロデッキ。
長い時間を刻んできた木梁や土壁の表情と対話させるように、床はあえて主張しすぎない静かな存在として設計している。
マイクロデッキは、薄塗りでありながら高い耐久性を持ち、店舗という人の動きが集中する場所でも安定した性能を発揮する素材だ。しかし、この床の価値は数値だけでは測れない。足裏に伝わる微かな硬さ、歩行音の吸収、光の入り方によって変化する表情──そうした感覚を確かめながら、塗り重ねのリズムと鏝圧を調整していく。
古民家特有の歪みや不陸は、均一に消すのではなく、床の表情としてわずかに残す。その判断ができるのは、素材の限界と空間の癖を身体で知っているからこそだ。トップセメントは、左官の判断を受け止め、意図を裏切らない懐の深さを持つ。
この床は、完成した瞬間がゴールではない。人が歩き、椅子が引かれ、時間が積み重なることで、空間に静かに馴染んでいく。
古民家の記憶と現代の素材が交差する場所で、床は今日も黙ってその役割を果たしている。


