階が変わっても品は揺るがない ―― 北新地・会員制空間の女性用トイレに宿るマーブルのデザイン左官

デザイン左官|女性用トイレ壁面(階違い)
北新地 会員制飲食店
トップセメント エリートグレーズ/マーブル仕上げ

同じ店舗であっても、階が変われば空気は変わる。北新地の会員制飲食店における女性用トイレの壁面は、動線や天井高、光の回り方によって求められる質感が微妙に異なります。本事例では、トップセメント・エリートグレーズのマーブル仕上げを用い、階違いの空間特性に合わせて表情を調整しました。

施工時に重視したのは、色の主張ではなく、層の重なりが生む奥行きです。材料の粘りが変わる瞬間、コテを入れる角度や止めどころを身体で判断し、空間に過不足のない揺らぎを残す。数値化できないその判断が、人工素材でありながら、柔らかさと清潔感を両立させています。

デザイン左官とは、同じ仕上げを繰り返すことではありません。空間ごとの条件を読み取り、質感を最適化することで、店舗全体の完成度を底上げする技術です。階が違っても、女性が無意識に感じる安心感と品格は揺るがない。その均衡点を探り当てることこそ、左官の身体知が最も活かされる場面と言えます。
静かに、確実に。空間の記憶を整える一壁です。

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