迎え入れるための質感|北新地で選ばれたレセプションカウンター

店に入った瞬間、最初に触れるのは空気ではなく「面」だ。北新地の三ツ星店舗に採用された本レセプションカウンターは、トップセメント エリートグレーズの持つ金属的な深みと、手仕事による制御された揺らぎによって成立している。光を強く反射させるのではなく、あくまで受け止める。そのために、コテ跡を消すのではなく、残し過ぎない位置で止める判断が求められた。レセプションは装飾什器ではない。客を迎え、店の格を一瞬で伝える「基準面」である。視線の高さ、照明の角度、立ち位置との距離。施工は図面ではなく、現場の動線と空気感を読みながら進められる。エリートグレーズ特有の多層表現は、塗り重ねのタイミングと研ぎの深さを誤れば、ただの派手な表面に変わってしまう。あえて抑え、沈めることで、質感は静かに立ち上がる。完成したカウンターは、主張せず、しかし確実に記憶に残る。触れた指先に伝わる温度、光が移動するたびに変わる表情。そのすべてが、施工中の判断の積層によって形づくられている。デザイン左官とは、魅せる技術ではなく、空間の格を裏側から支える技術である。その本質が、このレセプションには宿っている。

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