UKアートパネルは、素材を塗る前に空間の重心を読むところから始まります。TOPCIMENTのアルコセム・ベーシックカラーHUMOが持つ漆黒は、単なる黒ではなく、光を吸収し、わずかな反射だけを残す深度のある色です。その特性を最大限に引き出すため、モールディングの起伏は強調しすぎず、面と影の境界が自然に立ち上がる寸法で構成されています。塗り重ねの工程では、数値よりも手に伝わる抵抗感を重視します。コテ圧の強弱、返しの速度、乾き始める瞬間の見極め。その判断の積み重ねによって、黒は平坦さを脱し、奥行きを持った表情へと変化します。本作を手がける内村順一(Junichi Uchimura)は、デザイン左官を軸にアーティストとして活動し、師である高槻のぶ子より20年以上にわたり「空間調律」の思想を学び続けてきました。形をつくるのではなく、空間の呼吸を整える。その姿勢は、UKアートパネルの静かな緊張感として現れています。スペイン製マイクロセメント・トップセメントを用い、素材・手・空間が拮抗する一点を探り続けることで、壁面は装飾を超え、空間そのものを支配するアートピースへと昇華しています。





