「揺れる視点の中で」

本作は、高槻のぶ子展において、能登半島震災へのお見舞いの想いを込めて出展された二点目の作品です。プリズムデザイン仕上げは、光を分解し、視点によって表情を変える構成を持っています。ここでは形を固定することよりも、見る位置や時間帯によって印象が移ろう状態を大切にしました。欠片の角度や面の向きは、数値ではなく、手に伝わる抵抗や光の跳ね方を確かめながら決めています。一つ置くごとに全体を引いて見直し、再び近づく。その往復の中で、画面のバランスが静かに整っていきます。プリズムのように分かれた光は、強さではなく奥行きを生みます。揃えすぎず、散らしすぎず、欠片同士が互いを邪魔しない距離を保つ。その判断の積み重ねが、穏やかな輝きとして定着します。壊れた後に残るものは、形だけではありません。光を受け止め直すための面をつくること。その静かな行為として、このプリズムデザインは空間に置かれています。

制作者:内村順一

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