「つなぐための欠片」

本作品は、高槻のぶ子展において、能登半島震災へのお見舞いの意を込めて出展されたモザイクアートです。強い主張や象徴的なメッセージを前面に出すのではなく、静かに手を動かすこと、その行為自体を通して想いを託すことを大切にしました。使用する欠片は、形も色も揃っていません。その一つひとつを指先で確かめ、置くべき場所を探る。全体像を急がず、今この一片に集中する判断の積み重ねが、画面のリズムを形づくっています。モザイクアート仕上げは、完成形よりも過程が如実に残る表現です。割れ方の違い、目地のわずかな揺らぎ、光を受けた際の表情。そのすべてが、時間と手の動きの記録として定着します。壊れたものを元に戻すのではなく、断片を束ね直し、新しい関係を与える。その行為は、復旧や再生とどこかで響き合います。静かな手仕事の集積として、このモザイクアートは空間に置かれ、見る人それぞれの距離感で受け止められる存在となりました。
制作者:内村順一


