断片が像になる場所 ― モザイクアートタイル

モザイクアートタイルは、スケールが小さくなるほど、手の判断が如実に表れます。一片一片の欠片は、色も形も揃っていない。その不均一さをどう束ねるかは、設計図ではなく、指先の感覚に委ねられます。この作品では、モチーフの輪郭をなぞるのではなく、タイルの割れ方や釉薬の濃淡が自然に導く流れを優先しました。貼る順番、目地の間合い、力の入れどころ。そのすべてが、画面の奥行きと静かな緊張感を形づくっています。モザイクは装飾ではなく、集積による構造です。近くで見れば断片の集合体であり、距離を取れば一つの像として立ち上がる。その二重性を成立させるためには、全体を俯瞰する視点と、今この一片に集中する身体の切り替えが欠かせません。フレームに収められた小さな面積の中に、時間と判断を折り重ねる。モザイクアートタイルとは、完成形よりも、そこへ至る過程が静かに刻まれる仕上げです。
制作:内村順一


