真摯さを映すための装置 ―― モザイクアートタイル

a mirror that reflects sincerity
《a mirror that reflects sincerity》は、像を映すための鏡ではなく、向き合う姿勢そのものを映し返すモザイクアートタイル作品である。表面は一見フラットでありながら、近づくほどに細かなズレや反射の揺らぎが立ち上がり、見る者の動きや呼吸に応じて印象を変えていく。使用されるタイルは均質ではない。わずかな厚みの違い、角の欠け、釉薬の溜まりが意図的に混在し、整えすぎない構成が取られている。そのため、光は均一に返されず、静かな濃淡となって空間に広がる。そこに映るのは輪郭のはっきりした自己像ではなく、感情の奥行きに近い像だ。正面に立つと、タイルの集合体がひとつの面として成立していることに気づく。しかし視線をずらせば、無数の判断と手の選択が積み重なった痕跡が現れる。貼る、止める、直すという行為の連続が、無言のリズムとして作品全体を支えている。この鏡は、飾るためのものではない。問いを投げ返すための存在である。誠実さとは何か、向き合うとはどういうことか。その答えを示すのではなく、静かに考えさせる余白を空間に残す。
タイルの冷たさの奥に、確かな人の温度が滲む作品である。
制作:内村貴子


