思考の痕跡を刻む ―― モザイクアートタイル《人間はロボットじゃない》

《人間はロボットじゃない》は、明確な形よりも先に、問いが立ち上がるモザイクアートタイル作品である。整列や均一性を拒むように配置されたタイルの群れは、合理性や効率だけでは測れない人間の輪郭を浮かび上がらせる。一枚一枚のタイルは揃っているようで揃っていない。わずかな歪み、角度の違い、厚みのばらつきが連なり、意図せず生まれた陰影が表情となる。その不規則さは、設計図通りには動かない身体の癖や、思考が揺らぐ瞬間と重なっていく。近づくほど、素材の硬さと手の痕跡が同時に伝わる。機械的に貼り付けられたのではなく、触れ、迷い、選び直す工程が積層されていることが、説明なく理解される構成だ。正確さよりも、判断の連続が画面に残されている。色彩は抑えられながらも、単調にはならない。わずかな色差が連続し、視線の移動に合わせて印象が変化する。均一なグラデーションではなく、人の感情の揺れ幅に近い変化が採用されている。この作品が語るのは否定ではない。人間がロボットではないからこそ生まれる、曖昧さ、遅さ、誤差の価値である。完成してもなお整いきらない表情が、見る者の身体感覚を呼び覚まし、思考を止めない余白として存在し続ける。

制作:内村順一

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