断片が叫びになるとき ―― モザイクアートタイル《ゲルニカ》

無数のタイル片が、沈黙の中で強い緊張感を放つ。ピカソ《ゲルニカ》をモチーフとした本作は、単なる名画の再現ではなく、破壊と再構築のプロセスそのものを空間に定着させる試みである。制作を担った私(内村順一)は、図像を追うのではなく、感情のうねりを素材へと分解していった。タイル一枚一枚の大きさ、割り方、角の立ち方は均一ではない。そこにあるのは、整合性よりも必然性だ。視線を引き裂く線、あえて揃えない目地、わずかにズレたリズム。それらが重なり合い、見る者の内部にざらついた感覚を残す。白と黒を基調とした色調は、強烈でありながら装飾的にならない。光を受ける角度によって、タイルの陰影は変化し、平面であるはずの壁が、時間を含んだ層として立ち上がる。近づけば素材の重さを感じ、離れればひとつの像として収束する。その往復運動こそが、この作品の核である。
施工は、完成形をなぞる作業ではない。手を動かしながら判断し、止まり、また進む。その反復の中で、秩序と混沌の境界が慎重に保たれている。
だからこそ、このモザイクは強い主張を持ちながら、空間から浮かない。
これは壁であり、作品であり、記憶の断面でもある。視覚だけで終わらない重さを、確かにその場に残すためのモザイクアートだ。


