所作が造形になる ―― キッチンカウンター・造形モルタル仕上げ

キッチンカウンターは、使う人の動きが最も正直に現れる場所である。置く、切る、振り返る。内村工業のデザイン左官による造形モルタル仕上げは、そうした日常の所作を読み取り、面の起伏として立ち上げていく試みだ。装飾ではなく、動きの痕跡を造形へと変換する。施工は、図面上の寸法だけでは成立しない。厚みを持たせる位置、エッジを残すか、逃がすか。その判断は、実際に身体を動かし、視線の高さや手の軌道を確認しながら行われる。鏝を入れる一瞬一瞬が、使い心地と視覚的な緊張感を同時に決めていく。造形モルタルの魅力は、均質さを拒む点にある。微細なうねりや陰影は、光の入り方や時間帯によって表情を変え、空間に奥行きを生む。水や熱にさらされる環境においても、素材の重さと強度が、キッチンに確かな安定感をもたらす。デザイン左官とは、意匠と機能を分けない仕事である。内村工業は、アルチザンの身体知を通して、キッチンカウンターを単なる作業台ではなく、暮らしの中心となる造形として成立させている。

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